もうよっちゃん何故に自分に被ちゃった?
まだ隣に居たあたしやユウヤにぶちまけるなら
分かるけど、どこまでも自分に不運なんだろうか。
そして、アフロだった髪が浸水されて悲惨な状況に、
しかしあんなに大事にしていたアフロを気にする余裕
なんてもうそこにはなかった。
酔いが回って地面に突っ伏したまま寝てる。
ここまで来たら芸術センスのあるポージングだ。
彫刻家の人に彫ってもらいたいなと密かに思いつつも、
自分でも彫ってみようかなと企んでいた。
この寒空の下風邪をひいたら可哀想だなと思っていたら、
ユウヤがおじさんにタオルを借りるとベンチを跨って、
よっちゃんの肩を揺さぶりながら濡れた髪にタオル
を押し付けていた。
ユウヤって典型的な良い人だな。
ああいうことが出来る人は根っからの性質だと思う。
「よっちゃん、もう帰ったほうが良さそうな・・・」
「慶詩、百瀬に連絡してくれねぇ?」
ユウヤが完全に潰れたよっちゃんを引きずって
ベンチの上に転がした。
「おう、美男大丈夫か?」
みんな意外と仲間思いなのね。
そんな一面を垣間見た気がする。
しばらくすると、よっちゃんを迎えにももっちが
バイクを走らせてやって来た。
今日の尾行一緒に行けなくて悪かったなと
謝られたがその件については気にしていなかった。
「すいません、お先失礼します。」
ももっちが頭を下げてよっちゃんを引きずって
帰っていく背中を遠ざかるまで見つめた。
何だかんだ、よっちゃんは友達に恵まれてる。
周りの人を巻き込むよっちゃんを誰も嫌い
になったりすることはないと思う。
世話が焼けて情けないのはたまにきずだけど、
きっといつか心からよっちゃんがいいって思う
人に出会えるまではしばらくアフロ命で居てもらいたい。
「日和ちゃん、まだたくさんあるからね。」
寒いのに、不思議とおでんは温まる。
小さい頃、どうしておでん屋さんに人が
集まるんだろうと思っていたが、寒くても
おでんは心も温まる味な気がする。

