「いや、でも未依ちゃんもよく食べてたから

気にすることないよ。今に日和ちゃんも綺麗

になったら朝陽が喚くだろうな。」

「おじさんって、母さんのこと好きでしたか?」

ただの好奇心で聞いてみたらおじさんは一瞬

動きが止まってでもまた箸を動かした。

「そりゃ、好意があったのは事実だけどね。

未依ちゃんは美人の癖に酷く冷めてて相手にも

されなかったから俺はすぐ諦めたよ。」

「へ、へぇ~、よく父さん諦めなかったな。」

「しつこかったからな。未依ちゃんが半ば

呆れるほど一途で暑苦しくてアプローチは

真っ直ぐでそこに惚れたんじゃないか?」

母さんと父さんのことを聞くのは新鮮だ。

幼い頃に2人のやり取りを見たような気も

するが薄らとしか覚えてない。

とにかく、母さんにベタ惚れな父さんが

毎日恥ずかしげもなく母さんの名前を

叫び続けてたな。

近所に迷惑だって母さんによく叱られてた

ってのは兄ちゃんが教えてくれた話だ。

「日和ちゃんも押しに弱い方じゃないか?」

「そんなことはないと思いますよ。」

押される前に押し返してやるわ。

さすがに、父さんみたいな人がこの世に

何人も居たら世界の秩序が壊れる。

「ところで、千治。俺のことは覚えてるか?」

「ああ。はんぺんとその黄色いの。」

ちぃ君、それ餅入り巾着ね。

やっぱり、それ頼むと思ってた。

餅好きちぃ君だったものね。

「あいよ。」

おじさんが餅入り巾着を3つ入れてあげてた。

ちぃ君が餅入り巾着を好きなこと知ってたのか?

益々、おじさんとみんなの関係性が読めないな。

1人話に入っていけてないよっちゃんはさっきから

隣で気配を消してるかのようだった。

よっちゃん、頭は目立ってるけど会話に入って

来れなかったら意味ないよと思ってたらよっちゃんが

何か顔を真っ赤にしていた。

えっ、どうした((((;゚Д゚))))

よっちゃんの目の前を見るとグラスに半分ほど

残ってるお水がある。

水を見つめて何黄昏たんだ?

まさか、そんなにショックを受けていたとは・・・。