おじさんの目が細くなって笑みを浮かべた。
「おじさん、ちぃ君とお知り合いだったんですか?」
「あ、そうだよ。日和ちゃんは何でこんな奴らと?」
おじさんが席に掛けなと促すから木材で出来た
ベンチみたいなところに腰を降ろした。
「こ、こんな奴らとは失礼ですよ!
ちぃ君たちはあたしのクラスメイトでお友達なのです。」
「悪いね。出で立ちはまるで日和ちゃんとは違うから
ちょっと心配になっただけだよ。でも、そうかい。
・・・のせがれと日和ちゃんが同じクラスか。」
「歳は2歳ほど上なんですが、世話が焼けるので、
面倒を見てやってるのです。」
ふんっと鼻息を荒くして腕を組む。
「おめぇが言うな。」
パシッと頭を叩かれて頭皮にダメージを負った。
「い、痛っ。暴力反対だ!」
「しかし、こんなところ朝陽が見たら泣いちゃうんじゃないの?」
「父さん、泣き虫なので困ります。」
「そりゃ、1人娘の日和ちゃんが可愛くてしょうがないからね。」
おじさんはケタケタ笑いながら何食べるかいと聞いてくる。
あたしは大根とたまごをとりあえず頼んだ。
「どうせなら、息子として生まれてきたかった・・・」
娘は何かと苦労してるんだ。
兄ちゃんとお兄ちゃんも弟だったらもう少し
そっとしてくれてたんじゃないだろうか。
「それじゃあ困るよ。日和ちゃん居ないと
立花家は癒しがないからねー。」
どうも、母さんが学生時代からの付き合いだって
言うおじさんは立花家をよく知ってる。
「ジョセフィーヌが居ります!」
「あはは、それにしても会うたび
日和ちゃんは綺麗になってくね。」
「なっ、おじさんジョークですか!?」
「ジョークじゃないよ。未依ちゃんが
絶世の美女だったからね。日和ちゃんの
将来が今から楽しみだね~。」
母さんはお酒が強くて、よくおでんを食べながら
ガバガバ飲んでいたとかいう話を聞いたことがある。
見た目は自分の母親だとは思えないほど、
美人ではあったが性格はどうも逞しかったらしい。
母さんがよくモテたのは知っているが、
この目の前に居るおじさんも母さんが
好きだったかどうかは分からない。

