可哀想というべきなのか。
「ナル君、どうしたんだ?」
「ヒヨリンも何してんだ!!」
「えっえええ!?」
何故に怒られてるんだ?
「よっちゃんにティッシュあげようと
思ったんだけどな。」
折角、手にティッシュ持ってたのに。
行き場のなくなったティッシュさんが
寂しそうに出番ないのって聞いてくる。
「えっ、そうだったのか?」
ナル君がきゅるんっとあたしを見つめる。
「う、うん、他に何が?」
よっちゃんが地面から這い上がる。
「よっちゃん、起きれる?」
「俺、ヒヨリンが怖いっ。」
「あたし巨大化してないけど?」
「そういう妄想がマジで恐怖だ。」
「し、失礼なっ!」
よっちゃん、今度はあたしがタックル
かましてやんぞ!
「おいっ、おでん屋どこだ?」
「ち、ちぃ君ここで君のターン来ちゃったか!」
――――――――・・・・・
「確か、この辺だったはずなのだが?」
なんて、分かりづらいメモなんだ。
地図が読めないのではない。
この下手くそな書きなぐられた字は
兄ちゃんが酔っ払った時のだ。
「まさかの迷子か~」
伊織君、人が必死な時になんて呑気なの!
「だー!!もう分かりづらいこんなの要らない。」
ぺいっとメモ書きを捨てる。
「おいおいっ、捨てたらたどり着かねぇだろうが。」
「こういう時は思うがままに生きるんだ。
よしっ、こっちだな。」
「おめぇの勘は頼りねぇんだけどな。」
慶詩め、あたしの勘が正しかったことを
証明させてやるわ!
確かに、兄ちゃんと藤永さんと来たことあるから
大体の道は覚えてるんだよね。
あの時も、兄ちゃんはメモも何も持ってなかった
のにふらりふらりと歩いてたらたどり着いた。
さすが、ジャングルで生きてただけあると
思ったのはその時だ。
だけど、兄ちゃんと居た時はいつも迷子に
なったりすることはなかった気がする。

