だから、もしかしたらあたしが引いてる。

それを気付いてる人は気付いてるかもしれない。

何となく、伊織君とか馨君とかちぃ君辺は

気付いてそうで怖いな。

「そっか、でも、俺は千治さんたちはみんな

ヒヨリンのこと大事に思ってると思うぞ。」

「えへへっ、そうだといいな。」

一歩進んで見ようと思ったのはあたしの方だ。

それがもし良い結果になったとして喜ぶべき

ことなんだと思っても何故か笑えない。

「そうじゃなきゃ、ヒヨリンのことここまで

構ってないだろ。」

「何それ!!あたしが構ってやってるんだ!」

「・・・そ、そっか。」

ポカッ。

頭に石を投げられたのかと思って振り返る。

「ひょえええええ」

大魔王に化身したちぃ君降臨してる!

な、殴られるわ。

今の石攻撃はまさかのちぃ君だったのか?

「いつまで待たせんだ。」

「す、す、す、すまないっ!」

ちぃ君、たまに大魔王と化すから。

マイペースさんだと思いきや、

この大魔王降臨はちょっと厄介だわ。

「美男、大丈夫か?」

怖い顔してると思ったらふと表情崩して、

心配するんだから訳分かんない。

「大丈夫っすよ、ヒヨリンパワー最強っすね。」

ニカって馬鹿っぽく笑うよっちゃんに、

ちぃ君がズイっと近づいてよっちゃんの

ほっぺたをぶにっと引っ張った。

「ち、ち、ちぃ君!何をしているんだちみは。」

「何噛んでんだ。」

ちぃ君の天然さんはやっぱり理解不明だ。

理解しろと言う方が可笑しい。

「だ、だって、よっちゃんが困惑してるから

あたしが代わりに聞いてあげようと。」

すごい困ってるよ。

よっちゃん、放心状態でビックリしてる。

いや、あたしだって驚き過ぎて顎が外れる

かと思ったもんね。