鼻水と涙が混じってるよっちゃんの顔にティッシュ

を押し付けると呼吸困難になってビビった。

「し、死ぬかと思った。」

「良心のつもりがまさかの事態に・・

決して悪意があったわけではない!!」

顔が酷いことになってるよ、拭いてやろうと

思ったのである。決して、よっちゃんに危害を

加えようとしたわけじゃない。

「ヒヨリンと一緒だといつもコントだな。」

「でも、泣く暇も与えないくていいでしょ?」

「あ、確かに。」

クシャりと笑うよっちゃんが羨ましい。

すぐに表情をコロコロと変えられる。

あたしに出来ないことが出来る。

劣等感を抱くというよりはそんな表情も

あるのかという興味を抱くようになった。

「よっちゃん、元気になーれ。」

「多少は・・・元気になった。」

「でも、よっちゃんは逃げて正解だった

と思うんだよね。」

「はぁ?」

「それは後で詳しく説明してあげよう。

ところで、おでん屋さん行くよね?」

「連れてく気満々だろ。」

「よっちゃんはおでんの具何が好き?」

「ちくわぶだな。」

「よっちゃんらしいね。」

それから、おでんの具の話はしばらく続いた。

ランキング形式で発表していたら全くと言って

いいほど気が合わなかった。

「ヒヨリンっておでん屋さんに行くイメージじゃないだろ。」

「えっ、どの辺が?」

そうかな?おでん大好きだからよく行くよ。

ここ最近は兄ちゃんと藤永さんと行ったり、

赤い提灯を見つけると兄ちゃんが走っていくんだ。

兄ちゃんは子どもっぽいからはしゃぎすぎて困る。

少しは大人の自覚を持って欲しい。

藤永さんが文句言わないことに心の底から

疑問を抱いている。

未だに、仕事が続いているのだから有難い

話ではあるけど、藤永さん見た目と違って人がいいみたいだ。