今更、あたしが後悔したところで時間が戻る

わけでもないのだから前を向け。

頬をベシッと殴って気合を入れ直した。

大きく息を吸って声に吐き出した。

「よっちゃーんッ!!」

辛い思いをしているかもしれない。

何があったのかは分からないままで、

追いかけるべきでなかったかもしれないが

ほっとけるわけない。

居ても立っても居られないってこういうことなんだ。

ジッとしてられないせいか一歩踏み出そうとしたら、

背後で沈んだオーラを放つよっちゃんを発見した。

「よっちゃん、しっかりしろ。呼吸はしているか?」

「ヒヨリン、俺・・今はツッコミ出来ない。」

よっちゃんが元気ないとアフロも元気をなくすらしい。

「いいよ、しなくてもあたしが勝手に話してる

だけだからよっちゃんは聞き役になってくれる?」

「・・・・・・・・いいけど。」

「実はね、この後おでん屋さんに行こうって

話をしててね。よっちゃんはもちろん強制参加だよ。

寒くなってきたからおでん屋さんの大根は美味しいよ。

因みに、あたしはおでんの中で一番好きなのが

大根で次に好きなのははんぺんだ。」

「そんな気分じゃないんだけど。」

「じゃなくても、おでんは食べに行くんだ。」

「・・・ヒヨリンだけで行ってくれ。」

「だ、駄目だ!一緒におでんを食べるんだ。」

今のまま、よっちゃんを1人に出来るわけない。

このしょぼくれ加減といい、今日は帰してくれと

言われても絶対帰すわけにはいかない。

ここは、心を鬼にして!!

「だから、俺はそんな気分になれない。」

「じゃあ、今はどんな気分なんだ?

ずっとそうしてるつもりなのか?」

気分が優れない気持ちは分からなくもない。

1人になって悲しみたいのかもしれない。

「ヒヨリンには分からないだろッ!!」

そうやって、言葉を吐き出せばいい。

自分の中で蓋をしているから辛いんだ。

「うん、分かりっこないよ。」

押し込めないで気持ちを吐き出せば

案外スッキリするんじゃないか?