クルミちゃんの笑い声が聞こえると同時に彩乃
ちゃんが笑ってる場合じゃないでしょという合い
の手が入ってきた。
『あーね、昨日のこと覚えてる?』
「何か、失礼なことをしたかしら?」
『ぶふっ、違うんだけど!!っていうか、
ひよっち笑わせようとしてるでしょ。』
「まさか、滅相もございません。」
何を言っているんだ。笑わせようと努力してないぞ。
「何か、面白いことを言った方がいいのですか?」
『ひよっち、素が面白いんだよね。』
「そんなつもりないんですが、何故ですかね?」
『自覚ないとかひよっちマジ超ウケんね。』
「ところで、用件はないんですか?」
『あ、もう忘れそうになってたんだけど!!』
「クルミちゃん、しっかりして下さい。」
『だって、ひよっちが笑わせんだもん。』
ひと呼吸置くとさっきとは打って変わって
おちゃらけた雰囲気は一瞬にして消えた。
クルミちゃんがキレてるようだ。
『マジでありえないんだけど!!超許せない。
ウチの友達の彼氏にまで手出したんだよ。』
「あの、手を出すというのはどういう意味ですか?」
『そっか、ひよっちには分かりづらかった?
手を出すってのは寝取るってこと。
寝取るが分からなかったら』
「ご説明ありがとうございます。もう結構です。」
顔から火が出そうだ。クルミちゃん、そんなこと
言っちゃ駄目なんだよ。
お嫁に行くまではしっかり守らないと行けない
んじゃなかったのか?
今時の女の子たち破廉恥だわ!
そして、どうもクルミちゃんの友達の彼氏も
ついに被害が及んだとのことだ。
この間、話していた何股もしてるとかいう
お話を何故このタイミングで・・・。
『そんでね、その女の詳細が分かったから
顔写真よく見といてね。ひよっちには全然
関係ない話だけど、もし見かけたらウチに
居所教えてね。取っちめに行くつもりなんだー!』
「は、はい。見つけ次第ご連絡差し上げますね。
しかし、あまり他校の生徒と揉め事を起こしては
いけませんよ。ほどほどにして下さいね。」
クルミちゃんは分かってるよと言いながら切った。
最後は、きちんと委員長らしいこと言えた。
多分、ここら一帯の女子ネットワークはクルミちゃん
が持っているようなものだ。
基本、女子ネットワークの発信元がクルミちゃんだ。
ただのギャルとは一味違うのである。

