信じたくないというよりはよっちゃんにそんな
大それたこと出来るのか!
大体、見るから女の子の方がよっちゃん押し倒してるっ!
「じ、人類の滅亡が迫っている!!」
若者というのはやんちゃだと聞いたが、な、何か間違い
があったらどうするつもりだ。
「マジかよ!!」
ユウヤだけが反応してくれた。
他のみんなはもう呆れたようでツッコミさえくれない。
「日和ちゃん、とりあえず落ち着きなよ。」
オレンジジュースを差し出してくれた馨君に
ありがとうと言いながらストローを咥える。
「いや、落ち着いてちゃイカンよ!!
だ、誰か女心分かる人居ないのか?」
「お前が女だろうが。」
「慶詩、あたしは普通女子じゃないから
期待に応えられないんだ。」
威張るところじゃねぇだろと小突かれた。
しかし、気まずいではないか。
友人のラブシーンほど気まずいものはない。
どうにか、回避出来ないかな。
「おいっ、その野球拳まだ変えてなかったのかよ。」
「ダディとお揃いの着信音なんだもの。
少々、失礼して電話出てもいいですかね。」
けたたましく鳴り出したケータイを慌てて
ポケットから取り出して通話ボタンを押す。
『ひよっち、マジウケるッ!!』
「はい、マジでウケないで頂けませんか?」
『ごめんごめんって。』
「連呼しなくても良いです。はいは一回と言いますからね。」
『ひよっち、厳しい~よ。』
「社会的マナーを身につけた方が良いですよ。」
『ひよっち、何か焦ってるでしょ?』
えっ、声で人の状況が分かるのかクルミちゃん!?
「ところで、ご用件は何でしょうか?
まさか、また追いかけられてるとか言われませんよね?」
『ひよっち、何か改まりすぎ!!もっと普通に喋って
くれないとウチ超寂しいくなるんだけど。』
「すいません、電話は慣れないもので、えっと
どうかしましたかクルミちゃん?」
電話というのはいつも緊張してしまう。
たまに畏まりすぎだと言われるが仕方のない話だ。

