お手洗いを出てフラッとしていたら、
急に視界が暗くなったから驚いた。
太陽沈んでしまったのか!?それとも、
もう夜になっちまったのかねと思ったのだ。
「あの、すいません。君ちょっと変わった
オーラの持ち主だね。良かったら、一緒に
絵を売らないかい?」
お手洗いから出てきてすぐにこれだ。
一瞬、あたしの美貌を買われたのだと
ばかり思ったが、この手はよくある話だ。
大概、あたしのオーラを褒めるがそんなに
素敵なオーラをしてるのか見えないから
知りたいところでもある。
今回は一緒に絵を売ろうと来たか。
どうやって、断ろうかな。
「えっと、あのすまないが他をあたってく」
「誰だ、てめぇ!!」
な、ナル君のオーラが見えるような気がした。
ドス黒いオーラを纏ったナル君が・・・。
逃げるようにスーツ姿の男が立ち去った。
「畜生、騙せるかと思ったのに・・・」
ナル君がプンスカしながら男を睨んでた。
「ヒヨリン、ナンパされてんじゃん。」
「あれは、ナンパなどではない。」
「えっ!?」
大体、あたしがナンパをされるわけがないと
この前から言ってるのにな。
「一緒に絵を売らないかと誘われた。」
「何だてめぇ、勧誘されたのかよ。」
「いや、怖ぇじゃね~の。」
「よくあの手の話は持ちかけられるから
慣れてしまったのだが、あたしのオーラは
そんなにすごいのだろうか?」
「ただ、単におめぇなら騙せると思ったんじゃねーの。
あー、怖ぇ世の中だな。」
ね、ユウヤさっきから密かに笑ってるの丸見えだ。
笑うなら口開けて大きな声で笑ってくれた方が
まだマシというかスッキリするんだけどな。
「ヒヨリン、ぜってぇー俺から離れんなよ。
今みたいなのから守ってやっからな。」
いや、あたしがナル君を守ってみせるわ。
さっきから、ナル君を女の子だと勘違いしてる
のか指差して可愛いと言ってる男性の視線と
よくぶつかるのである。

