しかし、サユはすでにマコ君というお方が
いるわけで、やはりあたししか居ないな。
「駄目ってわけじゃないけど、よっちゃんに
変なことされてねぇよな?」
ナル君が心配そうにあたしの目を見つめる。
「よっちゃんが変なこと?そういえば、よっちゃん
のヘタレは度が増していると思うが。」
「そういうことじゃ」
「あ、分かった。ナル君昨日の参拝に行きたかったのか?」
「どこから、参拝出てくんだアホか。」
慶詩は引っ込んでてくれないかな!
今は、ナル君とお話してるんだからね。
「馬鹿にアホと言われたくないわ。」
「おまっ」
悔しそうにあたしを見下ろす慶詩。
さすがに、あたしに馬鹿とは言えないらしい。
「おめぇ、結構お口が達者じゃね~の?」
伊織君の口説きに比べたらまだまだ改善
余地はいくつか残されていると思うが。
「ヒヨリン、参拝行ったのか?」
ナル君がふにゃりと笑うから撫で回して
いいだろうかと思ってしまった。
「えっ、うん!よっちゃんはお友達だから
何か力になれるかなって考えた結果、あたし
は応援してあげることしか出来ないなと思って、
昨日はもっくんとももっちと一緒にあたしが
よく行く神社でお賽銭入れてきたんだ。」
100円も入れたんだから良い結果になるであろう。
「その発想が思いつくのはお前ぐらいだろ。」
「何、それ?褒めてるの?貶してるの?」
まぁ、どっちでもいい。
あたしが応援したいと思ったのだから、
この気持ちはきっと本物だ。
「ヒヨリンは優しいな!」
ナル君がキューティーフェイスを浮かべる。
「そんなことないよ。実は言うとね、よっちゃんが
陰湿なイジメでも受けてるのかと心配になって、
ほら何か深刻に悩んでるよっちゃんなんて見たこと
なかったじゃないか。だから、もしそうだったら
どうにかしてあげなきゃって意気込んでたらこういうことで
お騒がせというかなんというか。」
きっと、昔のあたしだったら気にしなかったことが
今のあたしには気になることに変化してる。

