Hurly-Burly 4【完】


しかし、サユはすでにマコ君というお方が

いるわけで、やはりあたししか居ないな。

「駄目ってわけじゃないけど、よっちゃんに

変なことされてねぇよな?」

ナル君が心配そうにあたしの目を見つめる。

「よっちゃんが変なこと?そういえば、よっちゃん

のヘタレは度が増していると思うが。」

「そういうことじゃ」

「あ、分かった。ナル君昨日の参拝に行きたかったのか?」

「どこから、参拝出てくんだアホか。」

慶詩は引っ込んでてくれないかな!

今は、ナル君とお話してるんだからね。

「馬鹿にアホと言われたくないわ。」

「おまっ」

悔しそうにあたしを見下ろす慶詩。

さすがに、あたしに馬鹿とは言えないらしい。

「おめぇ、結構お口が達者じゃね~の?」

伊織君の口説きに比べたらまだまだ改善

余地はいくつか残されていると思うが。

「ヒヨリン、参拝行ったのか?」

ナル君がふにゃりと笑うから撫で回して

いいだろうかと思ってしまった。

「えっ、うん!よっちゃんはお友達だから

何か力になれるかなって考えた結果、あたし

は応援してあげることしか出来ないなと思って、

昨日はもっくんとももっちと一緒にあたしが

よく行く神社でお賽銭入れてきたんだ。」

100円も入れたんだから良い結果になるであろう。

「その発想が思いつくのはお前ぐらいだろ。」

「何、それ?褒めてるの?貶してるの?」

まぁ、どっちでもいい。

あたしが応援したいと思ったのだから、

この気持ちはきっと本物だ。

「ヒヨリンは優しいな!」

ナル君がキューティーフェイスを浮かべる。

「そんなことないよ。実は言うとね、よっちゃんが

陰湿なイジメでも受けてるのかと心配になって、

ほら何か深刻に悩んでるよっちゃんなんて見たこと

なかったじゃないか。だから、もしそうだったら

どうにかしてあげなきゃって意気込んでたらこういうことで

お騒がせというかなんというか。」

きっと、昔のあたしだったら気にしなかったことが

今のあたしには気になることに変化してる。