人生終わったと寸前に悟った。
「お客様、どうなさいます?」
「ひっ」
どうすればいいのかあたしが聞きたい。
「俺はこういうのいいと思うけどねぇ~」
伊織君には聞いてないのよ!
「布面積が少ないだろうよ!!」
そして、ツッコむあたしもどうかしてる。
っていうか、伊織君の好みとか聞いてないの。
今は、よっちゃんの尾行に奮闘してるのに、
何故あたしはランジェリーショップに入って
しまったのか顔から火が吹き出しそうだ。
「お前、今何色身につけてんだ?」
「な、何を聞いているんだ!!」
それを世に言うセクハラと言うんだぞ。
伊織君がセクハラまがいなことをするよ。
およよよ(´;ω;`)
「ひよこ姫、肌白いし赤とか黒とか色濃い
方がいいんじゃねぇ~の。」
「お前は女っ気がねぇからレースのだろ。」
か、勝手に話を進めるな!
そこのコンビ、もうヤダ。
誰が、買うと言ったんだ。
は、早くこのお店から出なきゃっ。
京君が見知らぬ顔して出て行きたく
なった気持ちが今になってよく分かる。
「か、か、買わないぞ!」
ジローっと店員さんと目があった。
こ、怖いんですが、視線すごいんですが。
こん畜生!!ここで出費する予定なんて
なかったわよ。しかし、この冬大活躍しそうだ。
「すいません、これ下さい!!」
迫り迫った状況下、あたしが手にした商品を受け取って
店員さんがにこやかに微笑んだ。
「こちら、人気商品なんですよ。お客様にも
とってもお似合いだと思います。」
よ、良かった。確かにキュートなうさぎさんの
ポケットが可愛らしくてモコモコの生地が更に
良いところである。
店員さんとは裏腹に2人は納得いかない様子で
文句をぶつくさ言っていたが却下だ。

