知らんふりしてよっちゃんの後を追う。

こんな面倒なところで会うとはどうも

何か縁があるのかそうでないのか。

よっちゃんがチラっと後ろを振り返った。

どうも、何かに悩んでるらしい。

あ、手を繋ぎたいのかな?

でも、手を繋ぐってどう自然にたち振る舞えば

いいのかな?あたし、あまりにも経験値のなさに

パニックになって、ネットで調べるという強行

手段に入った。

「お前、何してんだ?」

ネットに集中していたせいか横からフラっと

視界に入ってきた彼らに気付かなかった。

「な、ひ、人違いだ。お前とは誰のことだ?」

このちょび髭が目に入らぬかっ!!

「いや、日和ちゃんだよね?」

か、馨君、何故分かっちゃったの?

きっちり変装していたつもりが・・・もう少し

念を入れておくべきだったか。

「何知らん顔してんだ。」

ひゅるりと口笛吹いて逃げようとしたところを

後ろ首取られて逃亡計画が無駄に終わった。

「ちょっ、邪魔をするな。」

「はぁん?」

「そ、そこに居たら見えんだろうが。」

よっちゃん、ごめんよ。

君の恋路を邪魔するものたちが現れた。

無駄な抵抗はやめろと言われているようなものだわ。

「ヒヨリン、俺も一緒に行くっ!!」

ナル君にピタリとへばりつかれた。

「うぇっ。ぎゅるじぃぃぃ」

ナル君の怪力に内蔵が潰れる恐怖を味わった。

「ナル、日和ちゃん死んじゃう。」

「えっ!?」

きゅるんとした可愛らしいお目々が潤んだ。

「ヒヨリン、死ぬなよ!!誰にやられたんだ!?」

いや、ナル君・・・君にですよ。

ふわりと甘い匂いがするナル君は可愛らしく

小首を傾げると何してるのって尋ねてきた。

こう見ると、女の子にしか見えないよ。

ふわふわの髪に小顔で可愛さに可愛さが拍車して

まるで女の子に抱きつかれてるみたい。

しかし、力はいっちょ前の男の子だ。