――顔はビールのせいで少し赤いが。
「……いつも思うんだけど、なんでコーヒー一杯をわざわざトレーで持ってくるんだ?」
「ン~、それっぽいでしょ?」
「『それ』って?」
「ナイショ」
タマがコーヒーをテーブルへ置くために身をかがめた。
白いブラウスの襟元から胸の谷間が見える。
ポチは慌てて視線をそらせた。
「――金曜の夜にこんなとこ来てていいのか?」
「ン~? なんで?」
タマはポチの隣に座って、さっき開けた缶ビールをおいしそうに飲んだ。
「余計なお世話だろうけど合コンとかさ。――彼氏いない歴何年だっけ?」
「あははっ、なんか面倒くさいのよね、そーゆーの」
「面倒くさいって……。おまえに彼氏ができたって話、聞いたことないぞ?」
「あたしもそう。キミに彼女ができたって話、聞いたことないぞ?」
「俺のはほとんどタマのせいだよ! みんなに『ポチ』って言いふらすから」
「あははっ、だって、キミのこと『ポチ』って紹介すると、みんな納得するよ? 見るからに『ポチ』っぽいのよ」



