ポチタマ事件簿① ― 都会のツバメ ―

 
 夫婦や恋人になればいずれ別れることもある。
 それぞれ他の相手と結婚すれば、自分たちはずっと『幼なじみ』でいられるではないか。
 ポチはそんな風に思っていた。
 ポチは、なんとなく娘を嫁に出した父親の気分になっていた。



 ポチは、半ば無意識にテレビをつける。
 気分を切り替えるようにチャンネルを切り替えた。
 バラエティ、映画、情報番組、そして夜のニュース番組が映る。
 リコモンの手を止めた。
 政治、経済、国際情勢、殺人事件、動物の赤ちゃんの名前募集……。
 飛び降り自殺はニュースになっていないようだ。
 自殺というセンシティブ情報(機微情報)は、有名人でもない限り報道されないのである。
「――やっぱり、ニュースじゃやらないか」
「ン? なに?」
 コーヒーを載せたトレーを片手にタマが戻ってきた。
 白いブラウスに黒いタイトスカート――会社帰りの服装だ――と、トレーを手慣れた感じで扱い、姿勢正しくすらりとカッコイイ。
 黒いエプロンでも着ければ、老舗喫茶店のウェイトレスのようだ。