ポチタマ事件簿① ― 都会のツバメ ―

 
 かくして、ポチの部屋は、ミステリー小説がぎっしり詰まった大型本棚のある部屋となったのである。
 それは、タマには最高の居場所なのかも知れない。
 しかし、この部屋はポチ――独身の男――の部屋である。
 兄弟同然の幼なじみとはいえ、そんな部屋に若い女性が出入りするのはよくない。
 二人の間に何もない――タマは小説を読んでいるだけ――としても、周囲の誤解を招くのは間違いないだろう。
 近すぎて一緒にいることに違和感もないが、それだけに、気をつけなければいけない。
 以前、一回だけ起こった『失敗』。
 ポチは男であり、タマは女なのである。
 以来、『失敗』のことは二人の間で話題になったことはない。
 タマは気にしていないのか、それとも忘れているのか。
 ポチは、自分のせいでタマが婚期を逃すようなことがないように願っていた。
 父親の感覚なのだろうか。
 他の男と結婚してしまうのは正直、寂しい。
 しかし、しっかりした人と結婚して幸せになって欲しいと、本当に願ってもいた。
 自分の結婚はそれからだし、そうすることが自分の責任だとも思っている。