全っ然、考えてなかったよ

だってさ、佐藤くんのことなんて今まで特に気にすることなかったもん

一年先輩の短大卒と一年後輩の四大卒…

そりゃ、タメ口になるわ
いくら私が先に入社してるからってさ
仕事離れりゃ関係ないもんね…

ってゆーか
ちょっとベビーフェイスなのよね
くっきりとした二重瞼に長い睫毛
それに
あのふっくらとした唇でしょ?
なのに、あの七三
なんか、年齢不詳だよ




だけどさ
歳はいいわよ、別に
要は何で私なのって事じゃない?
これと言って、そんなに仲良い訳じゃなかったし…
同じ売り場で働くようになったのも最近だし…





はあ~
何か考えんのめんどくさくなってきた




ミチと別れた後も駅までの道のりをボケーっと考えながら歩いていた

ボケーっと…

ボケっ?

んん?






はあぁぁぁあああ!?

駅前のタクシー乗り場で女の人がベッタリと男の人にまとわりつきながらタクシーの列に並んでいた

男の人は嫌がるでもなく、軽く笑ってさえいた






そう、佐藤くんは笑っていたんだ