ドラムとギター、ベースの音が一斉に波となって押し寄せてくる感覚に陥った。 重量感のあるリズムを刻むドラム。 主旋律を奏でるギター。 音に厚みを持たせるベース。 それらが、複雑に絡み合って音に翼を授け宙を漂う。 音だけでこんなにも心惹かれる音楽。 これに、これに声を乗せたらどうなるのでしょう…? 私の喉が疼き始めた。 歌いたい。 この音たちに乗せて私の声で歌いたい。 「…っ」 と、喉が声を発しようとする。 それを何とか抑えた。 今はまだ早いと、そう心が言っている。