突然、そんな事を聞かれた。 「おい!」 「聞くだけだって」 速水くんが鈴木くんを睨む。咎めるように。 それを軽く受け答えをする鈴木くん。 歌う事が好きか?ですか… そんなの。好きに決まっている。 歌があるから私はあるようなもの。 歌がなければ、私は私じゃなくなってしまう。 自分の世界へ入る事の出来る唯一の手段。それが歌。 「…好き…です」 辛うじて、小さな声でそれだけ言う事が出来た。 それ以上の言葉は出なかった。 必要もなかった。