驚く岡本を他所に時間だけは過ぎる。 固まっていても仕方がないと分かったのだろう。 武内の横に並び歩き出した。その横に望がつく。 俯き気味に歩く彼女。 それは、やはり俺たちを避けているように感じる。 一緒に行くと言っても、俺と拓弥は彼女の少し後ろを歩く。 とりあえず、望から仲良くなる作戦だから。 行動は一緒にするが、必要以上には近寄らないようにする。 声だけは届く距離を確保して。 彼女のたまに発せられる声はやはり綺麗で、益々彼女の声でバンドをやりたくなったのは、俺だけの秘密だ。