知られてしまったと。バレてしまったと。 岡本の表情から全て分かる。 今にも逃げ出しそうにジリジリと後退を始める彼女。 もう、いい。 焦れったいのは好きじゃない。 それに、逃げられる前に彼女を捕まえておかなければ、もう二度とこんなチャンスは訪れないだろう。 「岡本…」 「は、はい…!」 何を言われるのかと、ビクビクする彼女。 俺は彼女の目を真っ直ぐに見て言った。 「俺たちのバンドのボーカルになってくれ」