kiss-choco

まだ顔赤いのになあ、としぶしぶ顔を向けると、
相沢くんの体がぐんと近付いてきた。

同時に抱き寄せられて、ひゃ、と目を閉じると、ぺっとりと相沢くんの胸元にくっついた頭の上で、声がした。


「もう二度と、泣かせたりしないから」


ぼそりと低い一言。
でもそれは優しくて力強かった。






主導権なんて、どうでもいい。
弱いまんまでいいよ。
この腕の中にずっといられるなら、なんでもいい。




「相沢くん……」


「何?」


「な、何か涙が……ぶわっと。

う、嬉し涙はカウントされる?……っく」


「……ナシだろ」


いきなりだばだばっと涙が溢れたあたしに、
相沢くんはぷっ、と吹き出した。


「き、昨日から、っく……、涙腺が、ちゃんと機能しっ、してなくて……」


「しゃべらなくていいから、泣き止め」


胸の中でぐすぐす泣くあたしを、相沢くんは肩を揺らして笑いながら、優しく背中を撫でてくれた。


「ご、ごめ……。泣くつもりは、なくっ、て……」


「別に、いいけど」


相沢くんはまだ笑っている。


あ。
相沢くんの笑った顔なんて、昨日見たのが初めてで、めったに見れないんだ。