kiss-choco

木村が逃げようとしても、ものともしないの、と紗希が言った。


『椿ちゃんって、何かスポーツでもやってたのかなあ。あの力強さは謎だわ』


『剣道の有段者。道場で子どもにも教えてる』


『なるほど、剣道ねー。
あ、それで相沢と椿ちゃんがようやく繋がったわ。剣道ね』


紗希が納得したように頷いた。


『そうか、相沢はだからあの場に椿ちゃんを入れたのか。
確かに、「あの」椿ちゃんなら適任だよね』


『ケアはできるし、口は固いしな』



確かに、椿ちゃんなら木村くんへの対処も上手くやってくれる。
たくさんの生徒の悩みや相談を聞いてきて、好かれている椿ちゃんだもん。


相沢くんってば、色々考えてくれてたんだ。


『その上あいつはしつこいんだ。
多分、木村はあいつの実家の道場に通うハメになるだろうな』


『えー、何でよ?』


『健全な心は健全な体から。道場で汗を流して気持ちを切り替えよう、なんてのが口癖なんだ。
今頃、道場で鍛え直しましょう、って木村に言ってるだろうな』


相沢くんがすらすらと言ったところを見ると、椿ちゃんは本当に何度もそう言ってるんだろう。

うーん、そんな熱い感じには見えないんだけどなあ。
のほほんとしてると言うか。