kiss-choco

トレイを手にした相沢くんは、シワを刻んだまま、ドアを閉めた。

テーブルにトレイを置いて、溜め息。


「ユキに変なこと言われてないか?」


「挨拶しただけだよ。お兄さん、優しそうな人だね」


「うるさいだけだ」


そう言って、あたしの横にどさりと座った。


うわ! な、なんか近いんだけど!?


「ああ、ユキはどうでもいいんだ。木村、道場に来たらしいぞ」


「あ、そっか……、うん」


木村くんの名前に、手足の傷が痛む。


「心配すんな。ゆいこは世話焼くの好きだし、ユキは外じゃマトモだから」


相沢くんはあっさりと言った。
雪臣さん、少ししか会ってないけど、ひどい言われようだし。

あたしはにこやかな雪臣さんの笑顔を思い出して、小さく笑った。


「……どうした?」


「ううん、何でもない。木村くんのことは、椿ちゃんにお願いしたんだもん。お兄さんもいるんだし、心配しないようにする」


相沢くんにそう言って笑ってみせて、あたしは昨日の興奮しきった紗希を思い出した。