kiss-choco

『ああああっ! くっ唇! ごめんなさいっ!』


すっかり頭から抜けてた!
あの日の放課後、椿ちゃんと別れた後、あたしってば相沢くんの唇を噛んじゃったんだ!

勝手に勘違いして、しかもバカとかアホとか言った気がする……。


『ああ、あれか』


相沢くんは自分の唇の右端に指をやった。
ちらりとあたしに視線をよこす。


『あいつ、紗希だっけ? キスできるか賭けてたんだろ』


『はわわわわわ! 賭けって言うか、紗希が勝手に、その!』


ぎゃーー! 紗希ってば何てこと言ってくれちゃってんの!?


『嘘。ちゃんと聞いた。
あと、あれくらい構わない』


うろたえたあたしに、相沢くんがくすりと笑って言った。


笑った?


今、小さくだけど、笑ってくれた。
それって、初めて、なんだけど。


一気に幸せな気分になる。
あー。あたしって単純な人間だ。