kiss-choco

・.
  ・  ―回想(保健室で)―


『ゆいこは、俺が通っていた剣道道場の孫娘なんだ』


ようやく泣き止んで、タオルでごしごし顔を拭いていたあたしに、相沢くんが言った。


『で、今はその道場で師範をやってるユキ……俺の兄貴と、付き合ってる』


『……へ? 相沢くんのお兄さん、と?』


急に言われて、理解が遅れてぽかんとなる。

相沢くん、お兄さんがいたんだ。調査不足だったな、なんて見当違いなことをちらと考えた。


『だから、ゆいこは年上の幼なじみっつーか、姉貴みたいなもんで、お前が考えてるようなもんじゃないから』


えと。
椿ちゃんは、相沢くんのお兄さんの彼女で。
そして、相沢くんの幼なじみ。


それだけってこと?


『わかったか? もう勘違い、すんなよ』


相沢くんは不機嫌そうに言って、ちらりとあたしを見た。


『ゆいこを好きだとか、有り得ないんだからな』


『……うん。ハイ』


な、何か、照れる。
これは、あたしの誤解を解いてくれようとしてくれてる、んだよね。


その気遣いが、嬉しい。