kiss-choco

こんなところで縛られて、涙と鼻水でぐしょぐしょで、あげくにそのせいで息苦しい。

その現実も泣けてきて、あたしは一向に止まらない涙が、ぽたぽたとコンクリートに落ちていくのを見ていた。


ついてない。
ううん、ついてないを通り越してる。

今おみくじ引いたら、大凶を引き当てる自信がある。



ああ、助けてよ。




その時、ガタンと木戸が開く音がした。

誰!?

零れ差す光に、眩しさで目を細めながら、見る。
期待を持って。


ゆっくりと開かれた木戸、そこから現れたのは、


「鈴奈ちゃん、お待たせ」


木村くんだった。

一瞬止まった涙が、再び溢れる。


やっぱり、あたしはもう運に見放されてるんだ。


「んぶうんあ゛ー……んうー」


声を上げて泣き出したあたしに、木村くんがうろたえたように近寄ってくる。


「あっあっ、ごめんね、一人で寂しかった?」


「んあ゛んぶうー! ふんぐえー!
 (違うわよー! バカたれー!)」


バカ! 大バカ!
そんな理由なわけないじゃん。

いなくなって、ほっとしてたっていうのに。
寂しくて泣くわけない。


「ごめんね、ごめん。ほら、見て。綺麗だろう?」


木村くんは何を思ったのか、小さな箱を開いてあたしに見せる。

視界の端で見たそれは、変なデザインのピンバッジみたいだった。

って、こんなの見せて、泣き止むと本気で思ってんの?
ああ、あたしバカなんだ。
短い期間とは言え、こんな男を選んだなんて、本当にバカすぎ。