kiss-choco

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「実行委員のテント行って、三年の柳くん呼んできて!」


「男子バレーで怪我だって! それ持ってついてきて!」


「バスケ部の顧問探してきて!」


あれから。
あたしは飛び交う指示に従って、校内を走り回っていた。

救急箱を抱えていたと思ったら、何故かバレーのネットを体育倉庫であさっていたり。



い、忙しいじゃないの……。

こんなに忙しいなんて、聞いてなかったんだけどー。


去年と同じく、卓球一回戦負けの紗希がテントに来たものの、あたしにはゆっくり話す余裕もなかった。



でも。
こんな風に仕事に終われている方が、何にも考えなくてすむから、
楽なのかもしれない。


辛気くさい顔でぼんやりしてるより、きっとマシ。



「広瀬さん! 次は保健室行ってきて! 湿布薬の在庫がなくなっちゃった」


ネットを体育館に届け、保健のテントに戻るなり、再び指示。


「はーい!」


あたしは呆れ顔の紗希を置いて、また走り出した。