「どうかした?」

平静を装いながら、僕は再びほうきを動かし始める。
何も言わずに俯く宮藤さん。
…どうして。
いつもなら、憎まれ口を叩いてくるくせに。
欠片も可愛げのない言葉を返してくるくせに。
何動揺してんだよ、ばか。



ゆきくん、が、そんなに好きなの?
そんなに動揺するほど、ゆきくんが好きなの?


…いらいらする。




「…君、以外としたたかなんだね。」


口をついて出た僕の言葉に、弾かれたように顔を上げる彼女。



「本田さん、君のことすごく慕ってるみたいなのにね。友達の彼氏に手出すなんて。」

彼女を傷付ける言葉が止まらない。
自分でも思ってもみない言葉が溢れでる。
感情が、ぐちゃぐちゃだ。





「僕には友達の彼氏奪うなんて考えられな…っ」


僕の言葉が終わらないうちに、胸のあたりにドン、と衝撃が走った。