「おらー、席着けー!」

ガラリというドアの音と同時に、先生が声を張り上げる。



ひとり廊下に取り残された僕は、不意にひらひらと舞う淡い色の花びらに目をやった。




「今日は刺激の足りないお前らの日常に変化をやろう!」

…30代半ばであろう担任、原先生が言う。



…僕はスパイスですか。
心の中で突っ込みながら、僕は居住まいをただした。

何事も、『初め』が大切だ。




「せんせ、変化って?」

女の子の声が聞こえる。
原先生が得意気に言う。


「転校生。それも…かなりの美形だぞ。」

…いや、やめてよ原先生。
勝手にハードル上げられちゃ困るんですけど。



僕の内心とは裏腹に、教室の中が再び騒がしくなった。