…ほんとに可愛くない。
スタスタと僕の遙か先を進む宮藤さんの背中を見ながら、僕は心の中で悪態をつく。
僕の理想の女の子は、素直で可愛い子。なおかつ甘いものが好きなら文句なしだ。


だから。
有り得ない。




「霞沢くん。」

遙か先を行っていたはずの宮藤さんは、いつの間にか僕の目の前にいた。



「え、あ…」

「早く、終わらせましょう。こんな埃っぽい所に、貴方と二人でいると、息が詰まりそう。」

驚く僕を他所に、宮藤さんは横を向いたまま言う。




「ふ、」
そんな宮藤さんに、僕は思わず笑いを漏らしてしまう。


「何よ、」
そんな僕を、不服そうに睨みつける宮藤さん。
…彼女の素は、ただのツンデレ?



なんでもないよ、と手を振って、僕は箒を2つ取り出して、掃除を開始した。