…何やってんだ、僕は。
僕のポリシーは、女の子に優しくすることだ。
泣かせるなんて、もってのほかだ。

できるだけ、優しくしたい。
『女の子には何があっても優しくしなさい。』
それが、我が家の両親の教えでもある。


なのに。
宮藤さんを傷付けて、僕は何をしたいんだ?
とっさに取ってしまった行動が、自分自身である僕にも理解できなかった。


それに。
僕は、面倒なことが一番嫌いだ。
毎日楽しく生活して、それなりに上手く立ち回れればそれで良い。
恋愛もまた然り、だ。


なのに、なのに。
こんな、一番面倒なことに、足を突っ込むなんて。
…僕らしくない。




すっかり陽の暮れた、一番星が輝く空が見える校舎を歩きながら、僕は無限ループのようにそんなことを考え続けていた…──。