「そこに座りなさい。」



繁ジィに指定された場所…繁ジィの隣に座る。



「静夜。
こちらは、夏野海斗(ナツノ カイト)さんじゃ。」




夏野海斗…?




お客様の顔と名前を無意識に頭に入れた。



多少シワがあるが、整った顔立ちだ。



年老いてもイケメンの面影がある。



「はじめまして、
夏野海斗と申します。」


「…こちらこそ、はじめまして。
天瀬静夜と申します。」



ニコリと微笑まれたので、ペコリと頭を下げ、私も名乗った。


「…静夜。
夏野さんはな、
ワシらに依頼を持って来られたのじゃ。」


「依頼…ですか?」


「“天ヶ星学園”(アマガボシガクエン)は知っておるか?」



「…!?
は…はい。」



思わず目を見開いた。



天ヶ星学園と言えば…ここ最近注目を集めている学校だ。



何度かテレビにも出ていて……レベルも低くないから、入学希望者も多いと聞く。



「夏野さんは、
天ヶ星学園の理事長を務めておられる方なんじゃ。」


「……え。」



思わずポカーンとしてしまった。



この人が…天ヶ星学園の理事長!!?



だが…それなら納得できる所がある。



夏野さんの物腰·動作に品が感じられ、上流階級の人のオーラがある。



「…その天ヶ星学園の理事長様が、何故私どもの家に…?」



言葉使いに気を付け、失礼のないように問い返す。