そう答えれば、やっと納得したようだ。


「…分かったら、
もう帰った方がいい。

今の時間は、さっきみたいなのが起こりやすい。」


「そなたはどうする?」


「引き継ぎ、
妖怪退治。」



そう言うと、氷室は顔を歪ませた。



「危ないのは、
そなたもだろう。」


「私は戦える力があるから平気。

校門まで送るから、早く帰んな。」




しばらく不服な顔をしていたが、「分かった」と荷物を持って先に部屋を出た。


--正面入口。




「私はここまで。
家に戻った方が安全だから。」



ここまで来て、
まだ不満そうな氷室を宥めて、帰宅を促す。



「…そういえば、
そなたの名は?」



…え。
知らないで話しかけたのか?



「…静夜だ。


今日同じクラスになった。」




…途端に、氷室が目を見開いた。




何時もの無表情から、驚いた顔に変わる。



「どうかした?」




「…………………………いや。」




黙りこんだ後、やや遅れて返事が返って来た。





……何だったんだ?



「…ではな。


……気をつけるのだぞ。」


「………え…?」



そう言い残して、
氷室は背を向けて去っていった。



-氷室の最後の言葉に、私は氷室の姿が見えなくなるまで、固まってしまった。