* * *




-教室。



夕日が大分落ちてきた。



今の時間は理事長の方針でしばらく完全下校になったため、私以外誰もいない。



…そろそろか……。




私はまず伊達メガネを取り、ポケットにしまう。


ネクタイを緩め、
髪の結紐を取って着崩す。



「さて……。」


霊力で“陰の気”を探る。



学校中気を張り巡らして、学校を覆う源を探る。



「………!!」


--見つけた。


「早速お出ましか。」


探り当てた“気”に目掛けて、教室を出た。




* * *



-南校舎屋上。



階段を登りドアを勢い良く開けて入る。


「……っ、
キツイなっ……。」


屋上周辺は、既にどす黒いモヤが充満していた。



気を張らなくても、濃度が分かるほどに濃い。



意を決して、数歩進むが、



「---っ!」





-ドオオォォオン!!




右に素早く移動すると、さっきまで私がいた所が突如爆発した。




『オオオ~ン……』


奥を見ると、
長い黒髪の霊が私を濁った目で睨んでる。



男はモヤで人型の妖怪を次々に生み出している。



「…成仏は……
ムリか…………。」



霊の状態を見て、手で印を組む。




「-空間を閉じ込めよっ!」



鋭く言い放つと、屋上を囲む結界が張られる。



これなら気兼ねなく暴れられるし、モヤが周囲に散らばらない。


『オオォ~ン…!!』


私に敵意を出した妖が私に目掛けて突進する。



「ふっ……!」



鋭く霊符を妖怪達に投げて霊力を発動させる。



霊符に命中した妖怪達は、符の霊力によって光と共に消え去る。