しばらくして、


「美羽…。」


静先輩がやって来た。



先輩はいつもどうり伊達メガネをかけて、髪を1つに束ねて変装している。



先輩は自覚がないけど、本当はとても美人なのに、いつも勿体無いと思う。



先輩のプラチナブロンドの長い髪が、窓から入る風を受けてサラリとなびいていた。



「ようこそ、先輩。」



「あぁ…
お邪魔します。」



先輩を招いて、敷いた座布団に座らせる。



先輩が一言を喋らないので、沈黙が続いた。



いつもより、表情が暗いような気がする。



本当にどうしたんだろう…?



「……あのさ……」

「はい?」


「……………。」



先輩が再び黙り込む。



本当に珍しい。



表情を見れば、何かがあることは分かる。



だけど、言いずらそうな表情だ。



「……あの、さ…」

「はい。」


再び先輩が話を切り出した。


私は大人しく聞くことにする。



「……今日は……、話があるんだ……。

どうしても、聞いて欲しかった。」


「はい…。」


先輩は、意を決したのか……私から目を反らさなくなった。


「美羽……
私、さ………。」


「はい……。」



先輩の色が薄いブラウンの目が閉じられ、ゆっくり開けて続けた。