こんなに用意周到な旦那さんで、私はすごく幸せ者だ。 ーーーーついに、当日。 「恋那ー、早くしろよ!」 玄関の所から、そう秋夜に呼びかけられた。 「うん、今いくっ!」 私はそう言ってそっとそれをーーーーあの日光弥のくれた指輪を、そっとしまった。 思い出を、閉じ込めるように。 「じゃあ、新婦さんはこっちで、新郎さんはあっちでお願いします」 会場につくと、営業スマイルを浮かべたお姉さんにそう案内された。