やがて彼女は、噛んでいたのか赤くなった唇を僅かに開いて 「どうして……止めてくれないのっ……?」 と震える声で訴えてきた。 そんな彼女を冷ややかに見ている俺は、もう彼女を愛していない。 _______ いいや、最初から、愛してなんか居なかったんだろう。 「……別に、別れたってツラくない」 思ったとおりの事を伝えただけなのに、彼女は顔を真っ赤にすると 「最低!」 と大声を上げながら去っていった。