医師国家試験直前の2月4日。


俺は日に日に自分を追い込み、

自分でも分かるくらいピリピリしている。

恐らく、顔つきも険しくなっているだろう。



そんなある日。

いつものように机に向かっていると、

何やら背後に気配を感じて……。



「ん?どうした?」

「あっ、邪魔してごめんね?えっと、その…試験日っていつ?」


凄く申し訳なさそうに訊ねる葵。


「試験日?2月11日~13日だけど」

「はぁ~……そうなんだぁ~」

「ん?何かあるのか?」

「えっ?……ううん、別に。潤くんの健康を考えて栄養のあるご飯を作るからね?」



彼女はそれだけ言うと、

ニコッと微笑んで部屋を出て行った。



そう言えば、最近毎日ピリピリしてて

真面に葵と会話もしてないな。


夜も遅くまで勉強している俺に

迷惑が掛かるからと、

少し前から弥生さんの部屋で過ごしている。