”オモテの愛” そして ”ウラの愛”

エリザベートは小声で驚きの声を上げて両手で顔を覆った。

横にいた兄が動く気配に、手を降ろすと、フェリックスは綺樹の首根っこを鷲づかみにして男から引き離した。

そのまま部屋の外へ引きずっていく。

庭へ降り、砂利道と芝生を横断し、最後、噴水の中へ投げ入れた。

引きずられながら悪態をつき、抵抗していた綺樹は何が起きたのかわからず、しばし茫然とする。


「戻れ」


フェリックスは一言言い放ち、先に部屋に戻っていった。