綺樹の喉が動いて、顔を向けた。 芯のある眼差しが緩み、淵が滲んでいた。 「そうだな。 おまえは、さぞ愉快だろうな」 フェリックスは笑みを消して、しばらく見つめていた。 少し煽って、いつものようにかんしゃくを起させた方がいいと思っていた。 そうでなくても、自分の中に向って攻撃するタイプだ。 発散させたかった。 今度も動いたのはフェリックスだった。