”オモテの愛” そして ”ウラの愛”


1年半など、無意味だった。

一目会って、再び同じ穴に落ちる。

あの麻薬のような感じ。

男関係に疑心暗鬼になり、やがて発狂するように綺樹をがんじがらめに縛るだろう。

そんな自分になるのが怖かった。

完全に断ち切らなければ無理なのだと良くわかった。

意味もなくデスクに歩み寄る。

元々は綺樹が書斎に使っていたが、スペインに行ってしまった後は、勉強するために使わせてもらっていた。

今回、明け渡すタイミングを逃してそのまま使っている。

まだデスクの引き出しには、綺樹が残していった多くの物が残っていた。

思いついて一番上の引き出しを引く。