”オモテの愛” そして ”ウラの愛”


涼は書斎へ足早に入るとカギをしめた。

血が凍って破裂する。

ノブを握り締めたままドアに頭をつけた。

誰だ、相手。

カギをかけて当然回らないノブを無意識に回し、部屋を出ようとしていた。

行き先は綺樹だ。

強い衝動に自分が何をするのかわからなかった。

歯を食いしばり、目を強く閉じた。

やがてノブをつかんでいた手がだらりと落ち、ドアから離れた。