”オモテの愛” そして ”ウラの愛”


   *

今夜は自分の方が早かったのか。

リビングのライトを点け、キッチンに入ると冷蔵庫からペットボトルを出した。

コップに注がずに直に口をつける。

虚脱感にキッチンカウンターに寄りかかった。

何をやってるんだか。

最低な男になりたくないと思いながら、自分が繰り返していることはなんだろう。

そして、綺樹は気付いている。

パーティーなどの外出の夜、自分が何をしているか。

帰ってきて顔を合わせた時に、微妙な視線の伏せ加減で悟られているとわかっていた。

でも何も言わないし、これといった態度も示さない。