次の瞬間、フェリックスは脇のテーブルにあった水差しをつかみ、水を綺樹にぶちまけていた。

エリザベスは兄のとった行動に驚いた。

いつだって冷静な兄は、ひややかな言葉と声で相手を刺す。

相手をしたのを見たのは初めてだった。

ドレスを綺樹の足元に放る。


「もう一度だ」


暫くの間、綺樹はフェリックスを睨んでからドレスを被った。