”オモテの愛” そして ”ウラの愛”


船には黒い男の影が女性に向って腕を伸ばしている。

当時の男性らしく腰には剣を刺し、膨らんだ袖やズボンを履いているのがわかる。

暗い嵐の中、それを切り裂く雷光。

その光が海の中に沈んでいる女性の下半身の一部を照らした。

人間の足ではない一部を見せる。

魚と同じ下半身。

女性は海に落ちたのではない。

そして助けを求めている訳でも、男が助けようとしている訳でもない。

まさに、男は落ちようとしているのだ。