「あの男も必死ですねえ。
ウルゴイティ家と同じく大貴族ですが、家の財政状況も良くない上、次男坊ですからね。
自分の生活を守るために恥も外聞も無くなりますね」
「すっげー上から目線」
「そういう積りじゃありません。
色々としがらみがあり、その中で必死に努力する者には叶わないということです」
成介は涼と目を合わせた。
「つまり。
あいつと結婚するということか?」
成介はにやっと笑った。
「さあ、どうでしょうね。
あ、この絵、来てたんですね。
見たかったんです」
涼の向こうの絵画に視線を止めて、歩み寄った。

