正直、何で鳴ったのかわからなかった。 宅急便が届く予定も無い。 新聞もNHKの集金も来ることはない。 階下から音の苦情だろうか。 なんとなく皆も静かになって、モニターの方を見ている。 モニターには、道路の方を気がかりそうに見ている横顔が写っていた。 涼はしばし見つめてから通話を押した。 「はい」 涼の声にこちらを真っ直ぐに見た。