”オモテの愛” そして ”ウラの愛”


「ショパンのワルツは踊る曲じゃないだろう」


文句言いながらも、フェリックスのリードの上手さで、何とかワルツの形になる。

腰に回ったフェリックスの腕に引き寄せられて、距離が近くなった。

まともに踊れない。

綺樹はとまどった。

噴水にまで突き落とした男のやる事とは思えない。

よっぽど言ってやろうかと思ったが、腰に回された腕の力強さが、言う気を削ぐ。