”オモテの愛” そして ”ウラの愛”


「お前も、なかなか負けを認めないタイプだね」

「だから、言ってるでしょう。
 私が阻止するのは」


思わず向きになって言いかけて、綺樹がわざとしていることに気が付いた。

冷静に戻る。


「私は。
 自分が社長業をやらなくて済む、ということが、全てです。
 それであれば、どんな形でもいい」


綺樹も表情を戻し、探るように成介の瞳を見つめていた。


「私も、涼が、涼らしく生きていれば、どんな形でもいいよ」


穏やかに微笑した。